企業のマーケティングにおいてウェブマーケティングが重要とされるなか、特に注目されているのがオウンドメディアです。
オウンドメディアは、最大限に活用すれば多くの成果が期待できる一方で、事前に理解しておかないと思ったように運用できなかったり、逆効果になってしまったりと注意点があります。
今回は、オウンドメディアの概要、運用するうえでのメリットとデメリットを紹介します。
オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、自社が持つメディアの総称です。
一般的には自社のサービスや製品に関するウェブマガジンやブログを指しますが、公式のSNSアカウントやホームページ、パンフレットなど幅広いメディアが含まれます。
また、オウンドメディアは費用を払って広告を掲載するペイドメディアと、インフルエンサーや消費者など、ユーザー自身が情報を発信するアーンドメディアに並ぶトリプルメディアの一つです。
しっかり運用できればオウンドメディアだけでも効果を期待できますが、3つすべてを組み合わせることでよりプロモーションの効果が向上します。
関連記事:オウンドメディアとは?意味や目的、作り方や費用について徹底解説
オウンドメディアが注目される理由
オウンドメディアが注目される理由はいくつかあります。
これまで自社の情報を知ってもらうには、自費出版での雑誌の発行やペイドメディアを利用したメディアへの掲載など、どうしても大きなコストがかかっていました。
しかし、ネットワーク技術の発達と共に低コストでウェブマガジンやブログなどを運用できるようになり、小さな企業でも導入することが可能になったのです。
また、スマートフォンやパソコンの普及によって自社の情報がユーザーの目に触れやすくなったことや、発信するコンテンツを内製することで自社のイメージを正確に伝えられることなども理由として挙げられます。
オウンドメディアのメリット
続いては、オウンドメディアのメリットを8つ紹介します。
自社商品・サービスのブランディングができる
ブランディングとは、自社のイメージを認知してもらうことです。
ただ自社の名前や商品を知ってもらうだけではブランディングは成立しませんが、オウンドメディアなら企業の特性や強みをより具体的に紹介できます。
そうすることで、自社に対するユーザーの理解や共感を深める、ブランドイメージが定着するといったブランディングの成果へつなげられるでしょう。
既存顧客のファン化が期待できる
オウンドメディアは、新規ユーザーへのアピールはもちろん、既存顧客のファン化も期待できます。
すでに自社の製品やサービスを知っている人に、新しい情報や役立つ内容などを発信し続ければ、継続的にユーザーの興味や関心を引き付けることが可能です。
また、企業の思いやこだわりを伝えることによって、信用や好感を高めることができます。
このように興味や理解、満足度といった体験価値をユーザーと共有することで、信頼関係を深められ、ファン化へつなげることができるでしょう。
地域に問わず顧客が獲得できる
オウンドメディアは、インターネットを経由して発信することができるので、住んでいる地域を問わず顧客を獲得できます。
オウンドメディアを通して自社の商品を購入したり、サービスを受けたりするのはもちろん、観光地や名物といった地域の魅力をアピールすれば地方創生にもつなげることができます。
また、多言語に対応できる人がいれば海外にもアピールでき、より幅広い人に知ってもらうことができるでしょう。
自社商品・サービスの売上アップが見込める
ユーザーの興味を引くオウンドメディアを作ることで、まずは自社について認知してもらいます。
そこから自社商品の購入やサービスの成約まで誘導することができれば、売上アップが見込めます。
また、商品に興味がある、購入を検討しているといった見込み客を増やすこともできるため、魅力を伝え続けることで売上につなげられるかもしれません。
コンテンツが資産になる
費用を払って広告を掲載する場合、掲載できる期間が決まっていることがほとんどですが、自社でコンテンツを作成、保有することで永続的にアピールし続けることができます。
また、オウンドメディアのコンテンツは作れば作るほどウェブ上に蓄積されていくため、新規ユーザーでも過去に公開したものを読むことができます。
さらに、自社で管理できるので、変更があった際はすぐに最新の情報に編集することも可能です。
このように、一度作ったコンテンツは資産として残し、継続して発信できる点や好きなタイミングで編集できる点は、オウンドメディアの最大のメリットと言えるでしょう。
広告宣伝費が削減できる
コンテンツを自ら作成、発信するオウンドメディアは、広告宣伝費が抑えられるのもメリットの一つです。
ペイドメディアのようにお金を払って広告を出す方法は、即効性がありますが掲載し続けるにはどうしても費用がかかってしまいます。
一方でオウンドメディアは、効果を実感するまで時間がかかることもありますが、良質なコンテンツを提供し続け、アクセス数がアップすることで検索時に上位表示されます。
そうすれば、広告宣伝費を抑えつつユーザーの目にも留まりやすくなり、認知や商品の購入につなげることができるのです。
自社でサイトを自由に管理できる
ペイドメディアやアーンドメディアとは異なり、オウンドメディアは広告スペースに限定されず、サイトのデザインや構造などすべて自由に管理できます。
例えば、ターゲット層に適したデザインにしたり、ユーザーニーズを分析して必要な情報や誘導したいコンテンツを目立たせたりすることが可能です。
さらに、なかなかクリック数が伸びづらい広告は早めに変えたり、配置する場所を移動させたりと、手軽に試すことができるのもメリットでしょう。
良い人材の採用につながる
近年、オウンドメディアを通じて採用活動を行う「オウンドメディアリクルーティング」が注目されています。
オウンドメディアリクルーティングとは、就職活動や転職活動を行う人へ、オウンドメディアを使って直接的に自社の魅力をアピールする方法です。
企業が求める人材や社風、採用後の働き方などを、仲介サイトを通さず自社ならではの形でアピールすることで、ミスマッチを防ぐ効果が期待できます。
また、動画や画像挿入の可不可、文字数など制限がないため、求職者へ伝えたい情報を十分に載せることもできます。
オウンドメディアのデメリット
続いては、オウンドメディアを運用するにあたって知っておきたいデメリットを紹介します。
効果が出るまでには時間がかかる
オウンドメディア制作後、企業の知名度やターゲット、競合サイトの数などによって変わりますが、効果が出るまでには早くて3~6ヶ月、本格的な目標を達成するなら2~3年ほどかかります。
作った記事が検索結果で上位表示され、そこから流入を増やして認知度を上げていくにはGoogleのような検索エンジンから評価されなければなりません。
そのためには記事の専門性や有用性、検索キーワードとの関連性、アクセス数などさまざまな条件を満たす必要があるほか、記事数が少ないと評価されないので継続的に制作、発信していくことが重要です。
オウンドメディアの記事制作について明確な本数が決められているわけではありませんが、月10本程度を目安に週に1~3本ずつ配信しているメディアが多いです。ただし、コンテンツが高品質であることが前提となるので、単純に記事数を増やそうというのではなく、定期的に更新していくほうを心がけて取り組みましょう。
関連記事:SEOで検索順位を上げるには?順位が決まる仕組み、おすすめのチェックツールを紹介
運用コストがかかる
オウンドメディアは、立ち上げた後も継続的に運用コストがかかります。
例えば、コンテンツ制作費以外にサーバー代やドメイン代といったサイト維持費、オウンドメディアをより効果的に運用していくためのマーケティング費や分析・改善費などです。
また、コンテンツは社内で制作するか外注するか、サーバーは購入して設置するかレンタルするかなどによっても金額が変わってきます。
オウンドメディアにかかる費用については、以下の記事で詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
関連記事:オウンドメディアの制作費用はいくら?予算別に3パターン紹介
専門知識とスキルが必要
オウンドメディアで効果を出すためには、以下のような内容について専門知識やスキルが必要になります。
- マーケティングリサーチ
- 競合と内部分析
- SEO対策を踏まえたサイト構築
- キーワードの選定
- 検索意図の調査・分析
- 企業特性を抑えつつ、検索意図を満たす記事構成
- SEOライティング
- 公開記事の効果計測・改善
オウンドメディアは、事前の準備からコンテンツ公開後まで多くの工程を経て、成果へとつながっていきます。
検索エンジンに評価されるコンテンツを作るためには重要な内容なので、これらの専門知識やスキルを持つ人が社内にいない場合は、プロに依頼することも視野に入れてみましょう。
関連記事:SEOコンサルティングとはどんなサービス?流れや業者・会社の選び方を解説
記事の質が低いと逆効果になる
質が低い記事を発信し続けると、逆効果になることもあります。
効果が出にくくなるのはもちろん、誤った情報や誤字脱字、一方的な主張が目立つサイトは、ユーザーの信頼性が低下する可能性があるのです。
ユーザーが離れてしまうとアクセス数や売上が伸びなくなってしまうため、自社の魅力を伝えつつ、ユーザーに喜ばれるメディアを作りましょう。
オウンドメディアはデメリットよりもメリットが多い施策!
オウンドメディアは、上手く活用することで広告宣伝費を削減しつつ自社のアピールができるほか、住む地域を問わず顧客の獲得やファン化、良い人材の採用など多くのメリットを得ることができます。
そのためには、時間がかかることやコストと知識が必要なこと、コンテンツの質によっては逆効果になってしまうことなど、デメリットも抑えておくことが大切です。
メリットとデメリット両方を理解したうえで、注意しながらオウンドメディアを運用していきましょう。