近年、コンテンツマーケティングの手法として注目を集めている、オウンドメディアの導入を検討している企業が増えています。
一方で、作り方や運用方法が分からず、立ち上げに踏み切れずにいる企業も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、オウンドメディアの立ち上げから運用までの流れを詳しく解説します。
オウンドメディアの作り方【準備・企画】
オウンドメディアとは、ウェブサイトやブログなど自社が持つメディアの総称で、一般的に記事コンテンツを主体としたウェブサイトを指すことが多いです。
オウンドメディアをうまく活用すれば、広告に大きな予算を割かずに集客、採用、ブランディングなどを行えるようになるため、近年注目度が高まっています。
まずは、オウンドメディアの作り方を解説します。
目的を決める
オウンドメディアを運用する目的には、主に以下のようなものがあります。
- 企業のブランディング(ブランディング)
- 新規リード顧客の獲得(集客)
- 商品やサービスの売上アップ(売上向上)
- 人材採用の強化(リクルーティング)
最初に、オウンドメディアを作成する目的をはっきりさせておかないと、効果的な媒体を作ることができません。
例えば、集客力をアップさせたい場合と採用活動を強化したい場合では、ウェブサイトのデザインやコンセプト、ターゲットユーザーなどが異なります。
目的を達成するために効果的な戦略やデザインを施したオウンドメディアでなければ、いくら運用を頑張っても目標を達成することが難しいです。
成果が出るオウンドメディアを作るためにも、事前に運用する目的を明確にしましょう。
ターゲットを決める(ペルソナ設定)
サイトの目的が決まったら、ペルソナを設定しましょう。
ペルソナとは、サービスや商品を利用するメインユーザーの具体的なイメージです。
ターゲットとなるユーザーの名前、年齢、性別、趣味、職業、年収などを細かく設定し、まるで実在している人物かのように具体化します。
ペルソナを設定すると、明確に1人のユーザーがいるものとして企画を進められるため、担当者間でのターゲットやユーザーに関する認識のズレをなくすことができます。
そのため、ペルソナに向けたピンポイントなアイデアだけを集約でき、的外れな想定やトラブルを防いで、効果的な企画と対策が行えるようになるのです。
このように、オウンドメディアを作るにあたって、ペルソナの設定は欠かせない要素となるので必ず設定するようにしましょう。
内製か外注か決める
オウンドメディアの目的やペルソナを明確にしたら、内製するか外注するかを決めましょう。
それぞれのメリットやデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
内製 |
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外注 |
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人材や資金、時間など社内リソースが十分にある場合は、企業やサービスについての理解度が高い人によって内製したほうが、クオリティの高いものが制作できる場合があります。
しかし、よほど潤沢なリソースがない限り、完成までにかなり時間を要するのがデメリットです。
外注する場合は、一度にたくさんのコンテンツを制作できるため、比較的短時間でオウンドメディアを完成させることができます。
一方で、費用がかかることや、納品物のクオリティが低い場合は社内でチェックや修正を行わないといけないケースもあることなどがデメリットとして挙げられます。
社内のリソースや予算感を確認しながら、内製と外注のどちらが適しているかを決定しましょう。
外注の費用に関しては以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:オウンドメディアの制作費用はいくら?予算別に3パターン紹介
オウンドメディアの作り方【サイト構築】
オウンドメディアの企画がまとまったらサイト構築に移ります。
サイトの規模や運用方法などに合わせて、利用するサーバーや制作ツールを選びましょう。
ここからは、サイト構築に必要な手順を紹介します。
サーバーを選定する
サーバーとは、ウェブサイトを構成している画像や動画などのファイルを保管し、インターネット上で公開するために必要なコンピューターを指します。
つまり、サーバーがないとオウンドメディアを公開することができないので、サイトを構築するうえで必ず必要なものです。
サーバーは、レンタルサーバーを利用する方法と自社サーバーを構築する方法の2つがありますが、構築には専門的な知識と膨大な管理コストがかかるため、よほどのこだわりがなければレンタルサーバーが良いでしょう。
また、利用するサーバーによって、以下のような違いがあります。
- ファイルや画像の保存容量
- サイトの表示速度
- セキュリティの強さ
制作するオウンドメディアの規模に合わせて、最適なサーバーを選びましょう。
ドメインを取得する
ドメインとは、ウェブサイトの住所のようなもので、ウェブサイトが格納されているサーバーの場所を示します。例えば、URLになっている「〇〇.com」の部分がドメインにあたります。
ドメインとサーバーの両方を用意して、初めてウェブサイトをインターネット上に公開できるようになるため、必ず用意しましょう。
ドメインは短くシンプルなものにすることで、一目でユーザーに何のサイトか認知してもらいやすくなります。
また、以下のような内容をドメインに使用すると、サービス名や企業名を認知してもらいやすくなるのでおすすめです。
- 企業名
- サービス名
- 媒体名(オウンドメディアの名前)
サイト制作ツールを決める
オウンドメディアは、ブログやニュースなどを定期的に更新していく必要があるため、制作後の使いやすさを考慮することが大切です。
ここからは、オウンドメディア制作によく使われるツールを紹介します。
CMS(有料・無料)
CMSとは、「Contents Management System(コンテンツマネジメントシステム)」の略で、ウェブサイトのコンテンツを構成する画像やテキストファイル、テンプレートなどを保存、管理してくれるシステムのことです。
CMSを利用すれば、プログラミングの知識やスキルがなくても、簡単にウェブサイトを作成できます。
知識があるとより高度なカスタマイズを行うこともできるので、たくさんのサイトの制作に利用されています。
なかでも、「WordPress(ワードプレス)」というCMSが使用されることが多く、ウェブ上の43%のサイトがWordPressで作成されていることからも人気の高さが伺えます。
CMSには有料のものもありますが、WordPressは基本料金が無料なうえ、テンプレートの種類が豊富で高機能なのも人気を集める理由の一つです。
また、「Wix(ウィックス)」や「Jimdo(ジンドゥー)」など、CMS専用のソフトウェアやサーバーがなくてもインターネット上で利用できるクラウドCMSもあります。
制作会社に委託
サイト構築について知識やスキル、リソースがないという場合、ウェブサイトの制作会社に委託するという方法もあります。
戦略設計からマーケティングの相談までできるので、「初めてオウンドメディアを作る」「自社で行うには不安がある」という場合に特におすすめです。
また、オウンドメディアは外部に依頼する際もCMSを用いた制作になるケースが多いです。
CMSの場合、テンプレートなどを購入すれば自社でも簡単にデザインが用意できますが、専門家に依頼することで以下のようなメリットがあります。
- フルオリジナルのデザインに作り込める
- 必要な機能をカスタマイズで搭載できる
さらに、制作会社によってはサーバーを用意してくれるところもあるので、自社でサーバーを契約することなくオウンドメディアの構築が可能なケースもあります。
制作するサイトに求めるものに応じて、自社で作るか外部へ依頼するかを検討しましょう。
サイトのデザインを決定する
サイトのデザインは、媒体の印象を大きく左右するポイントとなります。オウンドメディアを運用する目的やコンセプトに合わせて、最適なデザインを作り込みましょう。
また、デザインの際には事前に作ったペルソナもよく確認することが大切です。
実際にオウンドメディアを利用するユーザーのことを考えてデザインすることで、PV数やCV率のアップにつながります。
オウンドメディアの作り方【記事制作】
オウンドメディアは、サイトオープン後の記事作成が最も重要です。
継続的に良質なコンテンツを発信していくことで、初めて多くの人の目に触れ、目標が達成できるのです。
ここでは、効果的な記事作成の方法について解説します。
キーワードを選定する
記事を作成する際は、まずキーワードの選定から始めましょう。
検索されることが多いキーワードを入れたり、ユーザーの検索意図に合っているコンテンツを作らなければ、集客効果は期待できません。
ペルソナ設定でイメージした人物がどのような悩みを持っているのか想像し、何を検索するのかを書き出してみましょう。メインにするキーワードを選定した後、実際にどれくらい検索されているかやほかに関連するワードがないかなど、徹底的に調査することが大切です。
キーワードの選定方法については、以下で詳しく紹介しているので参考にしてみてください。
関連記事:SEOに効果的なキーワードの選び方を紹介!種類やおすすめの選定ツールも
記事構成案を作成する
キーワードが決まったら記事の構成案を作成しましょう。
各キーワードの検索意図に沿って、どのような内容を記載するのがユーザーにとって有益かつ満足度を高めるのかをよく考えながら、コンテンツ内容や見出しタイトルなどを決めていきます。
記事の設計図にあたる重要な作業なので、しっかりと作りましょう。
記事の執筆・校正・修正を行う
次は、作成した構成に沿って本文を執筆しましょう。ユーザーのためになるコンテンツを届けるには、内容が充実した記事になるように意識することが大切です。
情報は正しいのかファクトチェックし、日本語として間違っていないかや誤字脱字がないかなども念入りに確認しましょう。
SEOを意識したライティングの方法については以下で詳しく紹介しています。
オウンドメディアの作り方【運用・分析】
オウンドメディアの運用には、公開した記事の分析と改善が不可欠です。
ユーザーが自社サイトにアクセスした流入経路や、上位表示されているキーワードを確認しながら対策することで、より効果的な運用が実現できます。
最後に、運用と分析の方法について紹介します。
分析を行う
公開した記事は、「Google Analytics」や「Google Search Console」などのアクセス解析ツールを使って分析を行いましょう。
実際のデータを確認しながら分析と改善を繰り返すことで、より効果的なオウンドメディアの運用が実現できます。
例えば、以下のような内容を確認することで、流入数の多い記事を活かした戦略設計や次に作成するコンテンツの企画などに役立てることができるのです。
- アクセス状況
- 流入経路
- 検索キーワード
- ユーザーの行動
- コンバージョン状況
具体的なチェック項目や分析の方法については以下の記事で紹介しているので、参考にしてみてください。
関連記事:【目的別】SEOの無料チェックツールおすすめ13選
改善・リライトを行う
記事は一度公開したら終わりではなく、情報が古くなれば過去に書いた記事は新しい情報に沿って直していく必要があります。
また、分析から得られたデータを基に記事のリライトを行えばより有益なコンテンツになったり、順位状況が芳しくない記事が上位表示できたりと、メリットはさまざまです。
分析したデータや時間の経過などに合わせて、定期的に改善とリライトを行っていきましょう。
オウンドメディアを立ち上げる前に作り方の流れを押さえておこう
今回は、オウンドメディアの作り方について、準備からサイトの構築、公開後の運用方法まで紹介しました。
オウンドメディアを上手に運用できれば、広告に頼らずに集客やブランディング、採用活動などを行うことができます。
そのためにも、制作段階の目的やペルソナの設定から、公開後の分析や改善作業など重要な作業がたくさんあることを知っておきましょう。
今回紹介した方法を参考に、有益な情報をユーザーに届けられるオウンドメディアを運用するのはもちろん、まだ導入に踏み切れずにいる企業の方もぜひオウンドメディアの運用を検討してみてください。